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出版物
高効率化の切り札 「波長変換方式」の全貌!
波長変換 太陽電池の開発
はじめに
著者が希土類を含む蛍光体の波長変換を太陽電池に利用してその効率を向上させる提案を発表して以来、既に10年余になるが、当初は、この方法が太陽電池そのものに手を加えるのでなく、太陽電池の前面に装着されている無反射(A R)膜を利用することに学会でも戸惑いを持って迎えられた。
太陽電池の効率を上げる基本的な方法の一つは、太陽光の全スペクトルを隈なくカバーする太陽電池を作ることにあり、実際、感度領域の異なる太陽電池を複数枚積み重ねて分担させる「多接合太陽電池」が高い効率を得ている。この方式が、太陽電池の分光感度スペクトルを太陽光に合致させようとするコンセプトであるとしたら、「波長変換方式」は、太陽光スペクトルを太陽電池の分光感度に合致させる、言わば発想の転換方式といえよう。希土類は、携帯電話で代表される今日のICT(情報・通信技術)時代に必須な高機能材料の一つであるが、その太陽電池への応用はこの方式が初めてである。その新規性が認められ、文部科学省の科学研究費特定研究の希土類グループの一員に選ばれて4年ほど補助金を得ることが出来た。
初めての発表以来、希土類の他の蛍光体として色素を利用するなど、さまざまな材料や拡張した手法を開発し実績を積み重ねてきた結果、次第に理解が得られ、特にここ1−2年は地球温暖化防止への切り札として太陽電池の大幅な普及が叫ばれ始めたこともあり、産業界で多くの関心を集めるように進展してきた。この方式の最大の特長は、太陽電池を選ばない全ての太陽電池の効率向上に柔軟に対応できることである。
この著作は、著者が教育・研究者として歩み始めた40年前、希土類の磁気・光の基礎的な物性の研究を端緒に、15年ほど前からその環境科学への応用をライフワークと決め、総まとめとして平成20年9月に開催された情報機構主催のセミナーで話した内容を基に拡張し新しく書き改めたものである。内容は読者に出来るだけ分かり易く、実際の仕事に役に立つよう実用性を目指したが、どれだけその目的が達成されたかは甚だ心もとない。読者の遠慮のない批評とご意見をお寄せ下されば著者としてこの上ない幸せを感じるものである。
著者
目次
1. 序論
1.1 待ったなしの地球温暖化
1.2 化石エネルギーとの決別
1.3 救世主としての太陽エネルギー
1.4 現在の太陽電池の問題点
2. 蛍光体の分光学的性質
2.1 光物性の基礎
2.1.1 光の吸収と発光の機構
2.1.2 配位座標モデルによる表現
2.1.3 エネルギ−バンド図による表現
2.1.4 発光の濃度消光現象
2.2 希土類ドープ無機・有機蛍光体
2.3 色素ドープ有機蛍光体
3.「波長変換」のための蛍光体
3.1 蛍光体材料の条件
3.2 蛍光体の形態とその作製法
3.3 蛍光体による薄膜の例
3.4 蛍光体の評価方法
4. 一般の太陽電池の種類と構造
4.1 種類と構造
4.2 無反射膜(AR膜)の重要性
5.「波長変換方式」太陽電池の実際
5.1 原理と構成
5.2 波長変換の機構解析
5.3 蛍光膜の最適膜厚
6. 各種太陽電池への応用
6.1 評価のための特性測定
6.1.1 分光感度特性
6.1.2 太陽電池特性
6.2 蛍光体薄膜と太陽電池の波長整合
6.3 蛍光体による変換効率向上の結果
6.4 集光型波長変換太陽電池
6.5 色素、有機ポリマーの紫外線劣化の可能性
7. 変換効率向上の実例
8.「波長変換方式」の他分野への応用展開
9. まとめと展望 |
執筆者紹介
■ 略歴:
1970年3月 電気通信大学 電気通信学研究科 修士課程修了、
同 年 電子工学科 助手, 1985年 工学博士(大阪市立大学)
1988年 同 大学 同 学科助教授
1996年より 教授 (光エレクトロニクス講座)
2009年3月 定年退職
2009年4月 電気通信大学 名誉教授
同 年 7月より 同 大学 産学官連携センター 特任教授
■ 専門分野:
希土類を利用した光エネルギーの環境への各種応用。ベースとしては、希土類を含むイオン結晶の光物性、磁気共鳴、放射線照射原子欠陥の物性。
■ 著書:
高橋 清、新居 和喜、宮田 清蔵、柳田 博明 監修: 工業材料大辞典 、工業調査会、分担執筆、平成9年。 日本ビジネスレポート(株)編集部: 技術予測レポート、第2巻 エネルギー・地球危機への対応技術 編、河野 勝泰、「希土類利用太陽電池の可能性」、pp.201-210, 平成12年。 山口 真史ほか、共同執筆、「太陽電池と部材の開発・製造技術」〜構造・プロセスから見る、耐久性向上・高効率化を目指した各種事例〜、 第5章 各種部材から見た蛍光膜の波長変換方式による高効率化技術、 第3節 1.「波長変換」とは、 2.「波長変換方式」太陽電池の実際、 3.変換効率向上の結果、 (株)情報機構、pp.334-350、平成22年。
■ 各種委員経歴:
宇宙開発事業団(現宇宙開発研究開発機構(JAXA))委託 (財)日本電子部品信頼性センター 「太陽電池の耐放射線強化技術の検討」委員会委員、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)技術委員、総務省「電波利用料技術試験事務及び研究開発の評価に関する会合」専門評価員、日本国際賞推薦委員
■ 関連学会:
日本物理学会、応用物理学会, 電子情報通信学会, 希土類学会, アメリカ物理学会、太陽発電衛星(SPS)研究会、太陽光発電所ネットワーク(PV-Net)各会員 |
番号:BC101002
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